~ 土地の副産物 ~前編
2009年10月31日
秋赤の 晴れ着のような艶やかさ
目に咲く彼方に 待つ銀世界。。。(字余り)
。。。さて、こちらは我が家のお隣です。

本日の議題は借景についてです
借景は、設計のイマジネーションと、巧妙な計算から成り立つ住み手にとっての副産物です。
土地の立地をいかし、窓から見える景色を絵画のように生活に取り込む四季折々の風景
それは、借景と云う名の、日々、表情が変化する安らぎの絵画
副産物だったはずの借景は、時として、主産物に変わります。

こちらのお宅は、建物の裏が遊歩道のある緑豊かな
広場になっています。
広場と言ってもプライバシーの面でも安心して
過ごせそうな のどかで閑静な場所
オーナー様が、長い時間をかけてこの地にたどり着いた
というのも頷けます。
玄関を入って目に映る視界の先の
大きな窓のフレームの中にちょうど隣接する広場の緑が
美しく収まるように設計されています。
すべての個室の窓を通して、刻々と変化する自然の移ろいを間近で感じることのできる臨場感は格別なるもの
こちらは公園に隣接する立地で手に入れた借景を、“情緒”という和の心で表現している印象のプラン

キッチンの窓に映るのは、そっと寄り添うようナナカマドの横顔

風景に向けて大きな窓を設けるのではなく、
趣を映す位置にあえて留めることで、
奥ゆかしい情景を手に入れることができます。
このあたりは、設計者の意図とお客様の侘び、寂びの感性が合致してこそ具現化できるもの
相互理解や信頼関係なくしてイメージを共有しながら美しい建物を築くことはできません。
そして、こちらのお宅は、目の前に緑豊かな公園を控えています。

ご覧の通り、リビング、キッチンの連続した大きな窓を通して季節の移ろいを感じることができます。
3方向に窓を設けて、山々や空を映し出しています。
ここまで大胆な開口部を設けられるのは、プライバシーが確保できる二階リビングならではの発想だから
そこに身を置くと、借景という土地のお土産を、余すところなくプランに注がれているのがわかります。
ちなみにこちらは、以前の記事で小物を紹介させていただいたSさま邸
Sさま邸は11/5発売 雑誌『oton』の特集記事の中で紹介されています。
ダイナミックなリビングや麗しの浴室、ホテルライクな寝室の全貌が明らかになりますのでぜひご覧ください。

同じ借景といっても、我が家のように、
“中庭”というプランの要望ありきではじまり、
いつの間にかたどり着いた先で、オマケがついてきた
という変則的パターンもあります。
実際、経験のないお客様には、専門家に聞いて初めて知るような複雑な法律や規制も多く、
どうやって土地を選べばよいのかわからないところも多いのも確か
土地をこれから。。。と思案中の方も、今、まさにご検討中の方も、
日々いくつもの土地の情報が目まぐるしく更新している今のネット社会で、
一体どんなことをポイントに重点を置けばよいのやら。。。と悩まれている方も多いのではないでしょうか
土地選びに正しい順番や定義はありません。
エリアを絞り、さらに土地をいくつかピックアップした段階で専門家に相談するのも一つの手。
そういう我が家も、おススメと言われたこの土地が、本当に希望するプランの要望を満たしてくれるのか
半信半疑のままプランをお願いし、提案されたプランを見て土地を気に入ったという逆パターン
~ 頭であれこれ考えるより、百聞はプランに如かず ~
土地がよかった、悪かったと言えるのは、建物が完成し、住んだ後に住人だけが語れる話
。。。だから、多くの体験者の実話を聞くことも、ないがしろにはできません。

住宅街でも、町の中心地でも、視界と目線に計算を施した、プライバシーと解放感の
完璧なバランスをプランに込めることは不可能ではありません。
そんな理想的なプランを、次はあなたの土地でお確かめください。
そうそう、借景と言えば。。。
つづく。。。