女性にとって、心ときめくメークの世界。。。
前回は、そんな魔法の道具のひとつ メークブラシの世界をリードする白鳳堂を紹介しました。
肌触りの良さの秘密は、毛先を切らずにそろえるという こだわり抜いた手作業工程にあります。
手間暇のかかる作業抜きに、その魅力を語れない商品を扱う会社は商品を大量生産するにあたり、
均一な品質を保つことは、とうていたやすい事ではありません。
あらゆるニーズに応えるために、多様化する商品と、クオリティーの保持。。。
つまり、高品質と量産はどの業界でもどこまでも矛盾する頭の痛いテーマなのです。
そこで考えたのが、製造過程の徹底した分業化
品質をまず第一と考え、機械化することなく、熟練されたその技術を製作工程を80種類以上に細分化することで、
各工程ごとの職人技をキープし、化粧筆の高品質という難題を守りながら、量産することに成功しました。
多くのブランドのメークブラシを支える シェア世界一のマンモス企業となった今でも、
高本社長自ら筆づくりに情熱を注ぐ様は職人魂のなせる技。
筆の出来を見れば、担当者の体調や心模様がわかるというほど筆づくりは繊細なもの。
そんな些細な違いでさえも見抜くことのできる高本社長のDNAには、モノづくりの精神が根付いているようです。
世界に誇る日本の技術企業の一つになった白鳳堂ですが、最初からトントン拍子だったわけではありません。
当時の筆業界と言えば、技術や品質がないがしろにされ、大量生産とリーズナブルな価格が持て囃された、
いわば、社長の想いとは真逆の志向が常識だった時代。
流通の複雑さにも疑問を感じながら、突破口になるべく、メーカーなどに掛け合ってみるものの、
「値段が高すぎる」と訪問相手の反応は素っ気ないもの。
品質重視の高級化粧筆は簡単に売れることはありませんでした。
そんな冬の時代を支えたのは、何と言っても高本社長が持っていた ゆるぎない技術力の確信。
足りないものは、商品力の革新。
いくら技術があっても、多くの人に知ってもらわないと意味がない。
直接、化粧品会社に直談判するなど高本社長の苦悩は続きます。。。
そんな 白鳳堂にとっての劇的な運命の出会いの一つが世界のトップアーティスト 安藤広美さんとのエピソード
高本社長が、新幹線で何気なく目にした雑誌で、安藤さんを知り、アメリカの甥に頼んで探し出してもらい、
何とか面会の約束を漕ぎつけ、自慢の筆を武器に渡米します。
筆の感触を確かめ感激した彼女は、自身の筆を披露してくれましたが、偶然にもその筆の大半が
日本で彼女が自らの足で買い集めたという、まだ無名だった白鳳堂の筆だったのです。
その技術力を高く評価した彼女が、おもしろい会社だと紹介してくれたのが、かの有名なM.A.C
その後、カナダのトロントにある会社を探し当て、このときも高本社長が自らが自慢の技術の結集を携えて
自ら乗り込んだのです。
通された部屋には数名ほどスタッフがいて、その中にいた一人の男性が
当時のMACの社長フランク・トスカン氏だったのです。
彼は、元々メークアップアーティストという いわゆる技術畑を歩んでいたため、
白鳳堂の品質の良さをすぐに判断できるだけの 確かな目を持っていました。
そのことをキッカケに、MACと白鳳堂が、卸業者を介さないOMC供給という
画期的な新しい流通ラインをスタートさせたのです。
しばらくして、「MACの化粧筆はどうやら日本製らしい」とのクチコミが国内外の化粧品会社に広がり始め、
さらにインターネットの普及によって、しだいに日本国内の一般ユーザーにも浸透して行きました。
信念と、数々の出会いと情熱、そして、社長の行動力が白鳳堂の今日を支えているのは
間違いなさそうです。
また、白鳳堂は、筆メーカーとしてはいち早く自社ブランドを確立し、直販に着手、当時はまだ大企業でさえ
未だ発展途中の中にあったインターネット販売に取り組んだ先駆者でもあります。
下請へから脱出し自立化を図り大進撃をおさめた製造業は、やがて強力な直販網を構築したビジネスモデルとして
注目を集め、経営学を専攻する大学ゼミ学生らの工場訪問などが絶えず訪れるほどの注目企業へと成長します。
高本社長がかつて抱いていたのは、技術の衰退という危機感。。。
日本人が持つ、モノづくりのDNAを絶やさないため、情熱と行動力で新しい分野の市場を開拓
逆境にめげずに高品質を追及し続けたことが、商品革新の原動力となりました。
そんな技術の大切さを最大限に優先した白鳳堂の取り組みは、
第1回「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞受賞という形で花開きます。
白鳳堂の技術が、量販に勝利したことを物語っているかのようです。
今やメークを愛する多くのファンを魅了して止まない白鳳堂のメークブラシ
昨年のクリスマス限定商品
新しい商品展開にも余念がありません。
かくゆう私も、白鳳堂のファンになった一人。
最後に、高本社長の明言を紹介します。
「モノづくりのDNAを生かすには、自分の仕事をとにかく好きになることです。
それは誰にでもできることで、特別なものはいらないのですよ。。。」
技術を分業化で効率を図ること、決して量産に偏らず、知恵を使い、品質を守り抜くというポリシー
どことなくケント・ハウスのスピリットと共通点があります。
自分の仕事を好きになること。。。
なるほど、肝に銘じておきましょう。。。(笑)