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2012年05月25日

こちらは、先日お引き渡しが行われたお宅です。
フレームとガレージ、向かって左手の窓に微妙な角度がついていて
その“ズレ”が白い壁に寄り添うようにシャープな影を落とし、
さりげないこだわりを感じる素敵なファサードでした。
私たちは“作品”をつくっているのではなく、お客様が主役の
“住宅”をつくっているので、設計者の意図をお客様が理解して、
さらに共感して頂くという信頼関係を築かなければ
趣向を凝らした建物を完成させることは難しいのです。
注文住宅の場合、参考になる建物は数多くあれど、やはり1邸1邸がオリジナルなので、未知な部分はつきものです。
まだ世に存在しないものを納得して信頼して頂くには、実績を背景とした“提案力”が必要になります。

目を引くのは外観だけではありません。
こちらの玄関も、ナナメを切り口としたデザイン。
同じくナナメにデザインされた塗り壁に交わり、まるで定規をあてて自由な
図形をスケッチしているような気楽さと、予定通りの周到さが同居しています。
角度を付けることで、陰影が出て、実際の寸法より奥行き感が生まれる
メリットもあるナナメマジック。
・・・ということで、今回は“斜めなデザイン”について
“ご機嫌ナナメ” “斜に構える”などと、斜めが入る言葉はあまり良いイメージがありませんが、ナナメにも良いところはたくさんあります。
たとえば、写真を例に挙げると、静物でも人物でもナナメから撮影すると、迫力が出たりイキイキとしたものになることがあります。
ヘアスタイルでも、小顔効果があり、オシャレな演出が期待できるナナメ前髪は女性を中心に熱い支持を受けています。
デザインでも、ちょこっとナナメにズラしたり角度をつけただけで、ものすごく凝った印象を与えることができます。

アクセントデザインでは、 Rの曲線も相変わらずの人気ですが、
曲線に比べるとクールでスタイリッシュな印象を持たせるのが
ナナメの特徴。
また、一般的に曲線ほどのインパクトがないため“いかにも…”
を防ぐことができます。
さりげなく “こなれた” センスの良さをアピールできる
ナナメテクニック。ぜひ取り入れてください。

こちらのお宅の素晴らしさは、デザインだけではありません。
65インチのTVも小さく見えるほどのモザイク大理石の壁には
プロジェクターも完備。大迫力のサラウンドで映画も楽しめます。
床から天井までの大きな窓を採用して、プライベートな中庭と一体感を得られるプランです。

KENT HOUSE 富 沢