突然ですが・・・
世の中エコブームだな・・・とお感じの方も多いとは思いますが、最近はブームというだけにはとどまらず、
エコであることが、どの分野でも売れる商品の最低条件の一つであるといっても過言ではないのが
近頃の世の中の傾向であるかのようです・・・
その波は、当然住宅業界にも静かに押し寄せております。。。
例えば、トイレの世界を覗いてみると。。。
近年、トイレ業界に画期的な革命を巻き起こしたのが、タンクレストイレと呼ばれる
その名の通りタンクの無いトイレ。
奥行き寸法が短く、空間動作が35%も広がったので、今までは手洗いスペースを設けることが難しいとされていた
わずか0.4坪のスペースでも、タンクレスの恩恵に預かれば、それも可能になったわけです。
さて、本日はタンクレストイレについて、エコの観点から、それぞれの機能の特徴まで一緒に学んでいきましょう。。。
まずは、日本で最初に便器を商品化したTOTOから。
TOTOは、2007年に「TOTO史上最高傑作」という刺激的なキャッチフレーズの
NEOREST (ネオレスト)ハイブリッドを発表しました。
洗浄に使う水を目的別で二系統に分けつつ組み合わせることで、当時としては、世界最高水準の節水と
パワフルな洗浄機能を実現しました。
そして、今回さらにバージョンアップして登場したのが、新ネオレスト
今回発売された新ネオレストが、実際にどの程度の節水になるのかというと。。。
一昔前は、1度の洗浄に13リットルもの水を必要としていたものが、新ネオレストでは
4.8リットルで済むというから驚異的な数字です。
水の使用量が減るということは、エコの観点から環境保全に役立つだけではなく、
当然、家庭での水道代金が低減できます。
4人家族で換算した場合、下水道料金も含めて13735円の節約に貢献する計算になるとのことです。
また、エコだけではなく、トイレの便器そのものの品質強化にも力を注いでいます。
従来の陶器表面の釉薬の処理に加えて、「セフィオンテクト」と呼ぶ超硬度のガラス層を重ね、
便器表面の滑らかさを長期間維持できるように工夫することで、コーティングの技術での
衛生面の配慮や洗浄性もアップしているのが特徴です。
※ 陶器の表面を100万分の1mm単位でつるつるにし、そのうえ表層にイオンバリアを作り上げるという手法
それに負けていないのが、最大のライバルメーカーINAXです。
今年の春に新たにバージョンアップして登場したのが、SATIS(サティス)です。
以前のサティスはECO6と呼ばれる水量6リットルの使用量でしたが、
現在のサティスの水量は5リットルの節水。
今回、TOTOの新ネオレストが登場したことによって、業界NO1エコロジーの王者の座を
INAXからTOTOへ奪われたものの、違いはわずか0.2リットル
陶器の品質は、プロガード+ハイパーキラミックで強化
TOTOのセフィオンテクトが、重ね塗り作戦であるのに対して、
もう一方のINAXは、釉薬そのものを改良して陶器自身に施してしまえという発想。
高硬度のジルコンを含ませることで、超表面平滑技術を実現しているのです。
陶器を焼く前に陶器の表面を滑らかにして汚れを付着させない工夫をするという意味では
同じですが、処理の仕方にそれぞれの個性が伺えます。
さらに、深く掘り下げると、お尻洗浄にも考え方の違いが如実に表れています。
ノズルから出るお湯がお尻に当たる角度を比較してみると。。。
TOTOは「ノズルが汚れにくい」ということを重要視して、シャワー角度は「斜め角度(おしり43度、ビデは53度)」
に対し、INAXは「汚れが落ちやすい」という観点からシャワー角度「70度以上」
早い話が、“ノズル”の衛生面を主に考えるのか、はたまた、“お尻”の洗浄を重視するのかという論点の相違
また、興味深いのが、TOTO ネオレストとINAX サティスの臭気に対する視点の違い。
ネオレストは「オートフレグランス」。「香りのトレー」に好みの香りをセットすることで
トイレに心地よい香りをもたらします。
対して、サティスはシャープの家電製品に搭載されている「除菌イオン」を採用。
「匂いの元となる物質」や「浮遊カビ菌」「ウィルス」などを「不活性化」します。
香りを“出す”ネオレストと匂いを“消す”サティス
それぞれに発想の違いがありますが、共通しているのは、どちらもハイグレードのみに与えられた特典だということ
お手入れ機能を見てみると、INAXのサティスは、隙間まで掃除しやすいよう、リフトアップ機能を採用すれば、
今回TOTOも負けじと お掃除リフト機能を追加しました。
※ちなみに、パナソニックのアラウーノは一体成形のため、便座と便器の間は隙間レス設計です。
何を主に置いて考えるかには個々の違いはあるものの。。。
どちらかが進化すれば、もう一方も必ずさらなる進化を遂げる方程式がそこにあります。
ここまでくると、どちらを選択しても機能面ではさほど違いがないのではないかという考えに到達してしまいそうです。
トイレの三大要素、エコ性能、快適、お手入れ面に+αがあるとすれば
残すところはデザイン性でしょうか・・・
TOTOがスティックリモコンをスタイリッシュでシンプルなデザインで消費者の心をつかめば、
INAXもすかさずスマートリモコンで対抗
このように、両者の商品が切磋琢磨しながら日々進化していかなければならないのは、
生き残りをかけた企業としての使命というより「宿命」なのかもしれません。
選択する私たち消費者にとっては非常に喜ばしいことですね。
。。。といっても、トイレ自体、ちょくちょく購入する機会のある商品ではないので、
そこはチョッピリ残念なところではありますが・・・
1番わかりやすい両者の違いは、見た目のスタイル
TOTO ネオレストの特徴は、丸いボディーとネオレストAHタイプのフルカバーの一体型デザイン。
一方のINAXはコンパクトで細身のデザイン。
また、止水栓を便器脇の隠れる位置に設けることで配管が外に出ず、すっきりした印象に
保てるのはTOTO特徴。
・・・とは言っても、トイレは空間のカラーやプラン(広さや、入口が便器の正面にあるのか、横にあるのかなど)
によっても選択の要素は異なるので、一概にどちらが良いとは言えません。
いずれののホームページを覗いて見ても、美しい音楽に乗せてトイレをよりスタイリッシュに堂々と
主役を美しく表現している様は最早アートの域。。。
TOTOは山本寛斎とのコラボレーション ネオレストコレクションでスタイリッシュでカラーバリエーションも豊富
INAXのREGIOのカラーにはブラックも登場するなど、こだわり派のユーザーにも対応した商品開発に積極的。
最後にもうひとつ。。。
世界デザイン界の最高権威、「iF賞」受賞
パナソニックのアラウーノの紹介をちょっとだけさせていただくと。。。
新素材(有機ガラス系)を使い、洗剤をセットするだけで、流すたびに
便器鉢内を洗浄してくれるというのが最大の特徴。
パナソニックが全自動お掃除トイレと銘打った所以です。
ノズルはステンレスを採用 除菌ノズルクリーニング機能もあり、
便器は汚れ自体が隙間に入ることがない究極の一体成形。
衛生面お手入れともに優秀な構造となっているだけではなく、流れる音も静か。
タンクレスの盲点 断水時には、少しの水量で流すことができるという機能満載で、
気合いの面では引けを取りません。
日進月歩であるトイレ業界。。。
節水戦争はそろそろ終盤を迎えつつある今、また新たなる付加価値を
それぞれのメーカーは模索していることでしょう・・・
便器選びもあなたの価値観次第。
お好みでどうぞ。。。