国際オリンピック委員会(IOC)では、2016年と2020年の両夏季五輪で、
ラグビー(7人制)とゴルフの実施を決めたとのこと。
ラグビーは、15人制で行われた1924年パリ大会以来の五輪復帰だそうですね。
今日は ” スポーツの秋 ” に因んで、ラグビーのお話です。
” One for all , All for one ”
一人は皆の為に 皆は一人の為に
フランスのデュマ(代表作ダルタニヤンの三銃士)という作家の作品の中で使った言葉です。
私がスポーツ観戦で深い感銘を受けたのは、遥か昔・・・
伝説の平尾誠さん ( 現:神戸製鋼ラグビー部 ゼネラルマネージャー兼総監督 ) が
神戸製鋼ラグビーチームの ゲームキャプテン を務めていた 全盛期の頃でした。
プラチナカードと呼ばれた 「早明戦」 では、
旅行代理店が 「観戦ツアー」 なるものを組み、
ラグビー人気も 最高潮だったでしょうか。
初めて見る試合では、得点を入れても 試合が終了しても
浮き足立って はしゃぐ事もなく、
寡黙な選手達の紳士的な態度に、そして観客の態度に
当時の私は大変に 「大人のスポーツ」 と感じたものです。
本来、ラグビーという競技には 個人を表彰する制度 がありません。
それぞれのポジションで 個人の手柄を競わず チームの勝利 という目的に対し、
一丸となって戦った時に、初めて良いゲームになる と考えられているのですね。
そんな ” ラグビー精神 ” には、多くの教えがあります。

皆さんがよくご存知なところでは
” フェアプレイの精神 ”
常に正々堂々ベスト を尽くし、
勝ってもおごらず 負けて潔く。
勝つことも大切なことであるが、それ以上に
いかに立派に戦ったかが重要なのである。
” On the field , Off the field ”
グランドに入れば、そこは戦場である。
徹底的に、手を抜かず とことんやらなければいけない。
しかし 一歩グランドを離れたら ” ノーサイド ”
そこは ラグビー仲間 としての友情 があるのみ・・・
試合終了の合図
” NO SIDE ” どちらの側 ( SIDE ) という垣根が取り払われ、
試合後には 「 アフターマッチ・ファンクション 」 と呼ばれる 親睦会 を行う習慣は今も根付いています。
また、ラグビーは一度試合が始まってしまうと、キャプテンを中心に選手達自らが責任を持ってプレーをする
” captaincy キャプテンシー ” を もっとも重んじるスポーツ。
監督・コーチが観客席で 試合を見守るのもこの為です。
たった一人しかいないレフリーを欺き、反則をする事はいとも簡単でしょう。
しかし、それこそがもっとも恥ずべき行為 と捉えるスポーツであり、
一人のレフリーにゲームを一任し、それに従うという
” Law の精神 ” は、
アンパイア( 事実を判断する人 )ではなく、レフリー( 語源は 「委ねる」 )からなるもの。
今年も一部ルールが改正され、意外に難しく感じる ラグビーのルールですが、
「 ボールの争奪が始まったら、ボールの進行を妨げるような行為をしてはいけない 」
という不文律があり、その上で成り立つルールというもの・・・
絶対的なのはルールではなく、レフリーの裁量に任せる というものでしょうか。
また、ラグビーでは年代によって着用する
パンツの「色」が決まっています。
40代は白、50代は紺、60代は赤、
70代は黄、80代は紫、90代以降は黄金・・・
「 2つ以上、上の年代の選手には、
タックルしてはいけない 」というルールも・・・
英国においてラグビーは、社会のリーダーを育てる為の 「 紳士教育 」 と位置づけられています。
体の大小に応じた様々なポジションが 「 15 」 も存在する為、どんな子供にも役割が与えられ、
自己責任と相互扶助の精神が、スポーツを通し育まれていくのでしょうね。
これから開催されるオリンピックでは、セブンズ(7人制)で行われるようですが、
詳しいルールを知らずとも、そこに佇む ” ラグビー精神 ” をちょっと覗いてみるのも面白いかも知れませんね。
まずは、 ジャパン ラグビー トップリーグ・
全国大学ラグビー選手権大会、
全国高校ラグビー大会の決勝を楽しんでみては如何でしょうか・・・
川崎